「7つの習慣」を極めて批判的に第二部途中まで読んでやめた記録

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私は うつ のため休職中である。

半年前まで本を読む気力もなかったが,ある日突然,めんどくさいことが,だいぶできるようになった。

職場とおよび職場の保健師と非定期的に連絡を取っている。だいぶ,体調が改善したので,保健師と「面談」なるものを行った。

その際,気が向いたら「7つの習慣-成功には原則があった!」を読んでみては,どうだであろう,と,推薦を受けた。

Amazonで検索してみると,ビジネス書のベストセラーらしい。

この本,バージョンアップをしているらしく,表紙の違う本もある。

ついでに,ビジネスのノウハウ本らしく,マンガ版である。

私が読んだのは,一番上の版(図書館で借りた)である。読み始めて,ある一節の文章で不愉快になった。本書の重要な箇所である。

「ところで,第一次世界大戦が終わって間もなく,成功について基本的な考え方は,急に人格主義から個性主義に移行した」(同書1996年版, p. 9)。

私は最近,第一次世界大戦の本をまとめ読みしたところである(ブログ過去記事: 第一次世界大戦関連本をまとめ読みした記録 )。

モノゴトを遠くから見ると,不連続に見えることがある。しかし,不連続な箇所は時間的に急激な変化が起きていて,その最中では,連続的である。そして,巨視的な不連続の前の事象が不連続の以後に影響していないかというと,そんなことはない。第一次世界大戦というのは,欧州型帝国主義の崩壊の第一歩(第二歩は第二次世界大戦である)であり,欧州型帝国主義は,今も崩壊途中にある(新・100年予測――ヨーロッパ炎上)。

歴史観の面において,「7つの習慣-成功には原則があった!」に納得いけなくなってしまったら,そのあとは,もう,書いてあることを素直に読み進むことは困難になってしまった。

そして,気になるところに,ポストイットを貼って行ったのである。

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ハリネズミになった『7つの習慣-成功には原則があった!

第二部の「第二の習慣 目的を持って始める」を読んでる最中であった。どう日本語を読むかの問題ではあるのだが,どうしても,「目的を持って」というキーワードが不可解でならなかった。

目的よりも,「動機」の方が重要であろうと思うからだ。原書になんて書いてあるのかが,気になった。仕方ないので,原書を探した。幸いKindle版が安価にあった。

該当部のタイトルを見てると”HABIT 2: Begin with the End in Mind”とある。

”The End in Mind”は「目的を持って』ではないと思う。直訳で「終わりを考えて始めろ」で十分であろうと思う。

実は,『第一の習慣 主体性を発揮する』は”Be Proactive”の和訳である。第一の習慣の本文を読んでいて,本がポストイットでハリネズミ状態になったのであるが,それは,「主体性」という日本語があるためである。ところが,”Be Proactive”と言われたたら,書いてあることは,さほど違和感はない。

ちなみに,proactive:「先のことを考えた,事前に対策を講じる」,という意味の形容詞である。前にBeがつくから,直訳すれば,「先のことを考えろ」くらいになる。

なぜ,”Be Proactive”=『主体性を発揮する』という訳語になるのか,理解できない。

これは,上の第一次世界大戦のくだりに出てくる,「人格主義」と「個性主義」というわけのわからない言葉にも当てはまる。

それぞれ,”Character Ethic”と”Personality Ethic”からの造語和訳である。”Ethic”を辞書で引けば,「倫理,道徳律」となっている。Characterはここでは,「人格」として訳すべきであろうが,ethicに「主義」という重い感はおそらくない。

つまり,翻訳者が,言葉を「重くし過ぎ」である。

そういった,重く訳し過ぎが,本書を通してずうと続く。著者は経営コンサルタントらしいから,あえて,理解し難いように,和書を難しくしたのではないかと,考えてしまいたくなる。

そのため,本書は,原書のまま読むことした。無駄なポストイットを使いたくないためである。

ところで,著者(原書の)は,(おそらくは米国のみの)150年間(たったその期間だけか?)の文献から,成功(success)に関する7つの法則(principle)を導き,それを「7つの習慣 」(The 7 Habits )としたのであるが,それは,7つの原則を連立させることを意味する。

エンジニアの私に7つのPrincipleを連立させろ言われると,「それは解けない問題ですね」となってしまう。原理(Principle)を7つも連立させると以下のようになる。

7つの原理の連立式
簡単化した7つの原理の連立式

これらの式は,連立線形常微分方程式で有るから,その初期条件を与えれば,解を得ることはできる。しかし,初期条件は,無限にあるから,解も無限にある。

これに少しでも非線形性が加われば,解は,解けなくなってしまう。

さらに発展させて,連立非線形偏微分方程式になれば,解があるかさえ,不明になろう。その例が,核融合のためのプラズマの扱いである。

人生に,7つもPrincipleがあったら,どんな解が得られるのか,わかったものではない。つまり,2nd Habitにおいて”Begin Begin with the End in Mind”といわれても,始めてみたら(初期条件を与えたら),そのあとの挙動は,初めに予想したものとは,異なることになる。

そうなると,実験を繰り返すことになる。しかし,少なくとも,日本語版第二部第二の習慣までにおいて,「人生における実験の有効性」に関する記述はない。

あるのは,「いい人になれ」というものばかりである。

そして,「7つの習慣 」(The 7 Habits )をとても批判的に読まざるを得ない最大に理由は,本書の前半に「成功の定義」が全く記載されていないことである。

「人生における成功」とは何かを「定義」もしくは「明示」されなければ,以降のどんな議論も「原則」(principle)と呼んでよいものか判断がつかない。

定義がないことから,合理的な原則は導き出し得ないからである。なぜなら,定義が変わったら,原則は変わるからである。

ただし,定義がなくとも,「原則のようなモノ」を導く方法がないことはない。それは,「宗教」である。「宗教」の「論理性=神学」は「後付け」でよいからだ。

この本は,合理的な原則ではなく,「非合理な原則」を列挙しているように感じられる。

 

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