「人類文明の黎明と暮れ方 (興亡の世界史)」を読んだ記録

人類文明の黎明と暮れ方_表紙

人類文明の黎明と暮れ方 (興亡の世界史),青柳正規著,講談社」 という本を,10日ほどかけて読んだ。

 

人類文明の黎明と暮れ方 (興亡の世界史)

古代文明を最新の知見を基に解説している本であり,10日という短期間ではなく,もっとじっくりと読むべき本である。

高校の世界史教科書(詳説世界史B 81 世B 304 文部科学省検定済教科書 高等学校 地理歴史科用
, 2015/3)において63頁しか割り当てられていない内容について,349頁も書いてあるのであるから。

著者は古代ローマ遺跡を専門とする「考古学者」である。そのためであろうか,記述は,とても具体的である。

しかし,本書の主張は,「序章 文明史を学ぶということ」と「おわりに 文明が滅びるとき」に集約されているから,途中をある意味乱暴に読み飛ばしても,おおよそのことは理解できる。

著者の現代文明への主張は,辛辣である。一部を引用する。

・序章から:

『思えば日本も少年たちが「鉄腕アトム」に夢中になっていた時代,人々は将来に明るい未来像を描いていた。「鉄腕アトム」は,科学技術がもたらすバラ色の将来の象徴であった。しかし今,あのような明るい未来を描く漫画もアニメも映画も見あたらない。たかが漫画,アニメと軽くみないほうがいい。これらの大衆文化は,その時代その時代の空気を的確にとらえ,近未来をいい当てているいることが多いからである。』(p. 21)。

『経済成長率三パーセントを維持しなければならないなどと経済学者や政治家は主張している。日本の三パーセントとは,九000万近い人口を擁するフィリピン全体を一つ,丸々生み出すことである。アメリカの三パーセントはフィリピンを二つ半個の地球に新たに負担させることであり,その膨張,拡大,過重な負担を毎年この地球に要求しようというのである。』(p. 34)。

『豊かさをどこまでも追求していくと人類は自分たちの首をみずから絞めることになるということである。というよりも,なお経済ボリュームを増大させる経済学者に耳を傾けるのであれば,すでにかなりの圧力で首を絞め始めているのである』(p. 35)。

『「心地よい停滞」を是とするには,経済成長率がゼロもしくなマイナスでもどうにかやっていける社会的な仕組みを作り直さなければならない。現在のしくみが一定の成長拡大を前提をしているからである。経済が縮小の傾向に入っても,質の向上と満足度の増大を数値化できないときは言葉で,さまざまなメディアを通して訴え,多くの人々の合意を形成することが大切である。」(p. 38)。

・おわりに :日本文明がかかえる弱点

『(前略)ことに最近は強迫観念のように清潔信奉が広がり,公園の砂場で幼い子供を遊ばせない親も増えているという事態にまで生じているという。

これは過保護を超えた愚行としかいいようがない。なぜなら,幼い子にとって,砂遊びは健康体をつくるうえで欠かせないからである。生まれたばかりの幼児が最初に免疫力をつけるのは母親の母乳によってであり,そのもう一段上の免疫りょくをつけるために欠かせないのが砂遊びである。それを「汚い」という理由で排除してしまうのは,強い生命体になることを拒否していることに等しい。』(p. 356)。

すべてにわたって,同感である。特に,経済成長を前提としない社会を必要とする,著者の観点には大いに共感する。

本書をAmazonにおいて検索すると,残念なことに文庫版はまだのようである。著者には,大変申し訳ないが,私は図書館で借りて読んだ。

 

 

 

 

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